代表取締役
雨森 塁
昨今は、誰もがスマートフォンで撮影した写真や動画を簡単にSNSにアップロードし、友人や世界中の人と共有できてしまう、そんな時代です。そしてそれはSNSだけでなく、仕事に関しても多くの業界であたりまえのようにパソコンやタブレットが使われるようになりました。
ジュエリー業界も遅々としてはおりますが、その影響を少なからず受け始めています。
ひと昔前は手作りで起こしていた原型はCADに取って変わりつつあり、CADでは難しいと言われていた具象物(動物や有機的な造形)も最近では対応が可能になってきています。
加えて鋳造や3Dプリンターの樹脂の性能・技術が上がり、3Dプリンターで造形した樹脂を直接鋳造し、金やプラチナに起こすことも可能となりました。
弊社でも早い段階からデジタル技術を取り入れ、おおよその依頼に対応する事が可能になりました。
しかしながら、ジュエリーにおいては必ず【職人の手】が必要とされます。
3Dプリンターで造形した樹脂を鋳造した後の筋、いわゆる造形目を除去する作業や、ダイヤなどの宝石を石留めする際の技術、仕上げの際の研磨方法や治具、最終洗浄や検品。
他にも、品物を見ただけでは解らない様々な【職人の手】がかかっています。
確かにCADは今まで作る事が困難だった形状のものを作れる等便利な部分が多いですが、決して魔法のツールではありません。
どうしたら、職人が後の工程で作業しやすいか、品物の形状からどうするのがベストか。
細かい判断や経験が必要になります。
これからも世のデジタル化は加速の一途を辿るでしょう。
おそらくジュエリー業界もその波に逆らう事は出来ないと思います。
しかし、ものづくりというのは、どんなものも決して人の手を離れる事は無いのです。
古き良き、廃れる事のない職人の技術、新しい可能性のCAD。
その二つをうまく融合した仕事をして行きたい。そんな風に考えています。